- 43話 -
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目次
~道は…~
その日の 出来事は……。誰もが予期しない 出来事の連続だったのか……。
短い時間での 変化は著しく……。変化の証は 過去の大災害をも思い出させる。
…………。
ニューヒキダの N 地区での戦いの末には、その場所に 大きな開口を作り出しており……。
地上からは 奥底の最深部すらも 目視出来ない 正真正銘の 闇である。
…………。
APCの特務棟では 3人の青年が 件の出来事を振り返り……。事態の整理を始めていた。
…………。
白衣の青年 天瀬十一(アマセ トオイチ)からの 問いかけに……。
有馬要人(アリマ カナト)と 丹内空護(タンナイ クウゴ)が 応答する。
…………。
「 さて……。大変なことになったな。2人とも。何があったかは 覚えてるよね ?
闇の化身とも思える あの怪人……。
The dark ace は……。
( ジ・ダーク・エース )
もしかすると 俺達の知ってる エヌ・ゼルプトの範疇を軽く超えているのかもしれない。 」
…………。
3人の青年達が 話し合っているのは……。つい先程……。約 2時間前まで 戦っていた 闇の化身についてだ。
…………。
「 俺の code-0-DAATでの 本気も……。
空護さん や、十一さん との連携にも 傷すら追っていなかった。
レト が話していた通りなら……。イレギュラー中のイレギュラー……。 」
「 戦ってみてわかったが……。
奴は AA-18での 障壁も瞬間的に すり抜けたような動きをしていた。
徒手格闘においても……。蹴りや 殴打が 何にも当たっていないような……。感覚だったな。
奴からの攻撃は こちらに有効だったのなら、任意で実体の無い身体になれるとか そういった事なのか ? 」
…………。
闇の化身は 手強く……。全滅は免れたものの……。生き残れただけで 敗北したのと同然の感覚を 青年達に叩きつけたのだ。
遡る事……。約 2時間程前……。
…………。
N 地区の 中心には まだ 地の底まで伸びる 大穴が 空いていない頃……。
…………。
青年 有馬要人も 当時の事を 頭の中で 整理し始める。
…………。
レトの 言葉を借りるのであれば……。エヌ・ゼルプトに 発生するとされている 自己破壊現象。
単独崩壊が 2体の エヌ・ゼルプトに発生した。
…………。
その後には……。多くの負の要因が 重なったからなのか……。未知の存在が 姿を現したのである。
…………。
The dark ace……。
( ジ・ダーク・エース )
…………。
忌まわしい 闇が 形を成したかのような……。特異な化身だ。
タロットカードの 大アルカナと類似の特徴を持つとされている エヌ・ゼルプトとは 酷似している特徴もあるが……。
本来は 存在しえないのだろう。
…………。
あらゆる情報にも 合致する ものは無く……。度を越えた 能力の高さは……。3人の青年達を 凌駕していた。
…………。
3人の青年達の 渾身の連携は 容易く崩され……。
只の 光弾が 地面を吹き飛ばし……。その時の威力は凄まじく……。
大規模な影響範囲を持った破壊の余波が……。愚者の青年を 強制解除にまで追いやったのだ。
…………。
当時……。
青年 有馬要人の 近辺には、闇の化身が 作り出した 傀儡たちが 5体 召喚されており……。
有馬要人は……。どうにか拳を握って立ち上がるが……。生身の身体では 眼前に迫る 傀儡たちへの対処が 完全に遅れてた。
…………。
天瀬十一は ホバー滑走で走り……。
丹内空護は 再度 黒馬型の戦車で中空を飛翔し……。
2人の青年は……。愚者の青年の 救助に向かったが どちらから見ても 間に合うような距離では無かったらしい。
…………。
愚者の青年 有馬要人にしても……。周囲の状況を把握できる 余裕も既になくなっていた。
…………。
だが しかし……。
余裕が なくなっていたからこその 精神的な 根幹部分が 浮き彫りになったからなのか……。
青年の目は 闘士が強く宿り……。首から下げていた 御守りを握っていたのだ。
御守りには アルカナの光が 増幅され……。AA-18や -JFC-からも 光の明滅が集った。
…………。
……。
正直な所……。何故 こんな現象が起こったのか……。
有馬要人 自身も知りえない 現象なのである。
…………。
……。
この時……。別の偶然も重なっていたようで……。
青年は 近くに ある物が転がっていた事に気がついて……。それを拾い上げていた。
拾い上げたのは 謎のメモリツールで……。そこには 真新しい 手書きで、名称と思われる記載があった。
…………。
code-α-……。
…………。
青年は これに強く気を惹かれ……。自身の code-0- 起動用端末 A-device(エー・デバイス)へと差し込んだ。
…………。
この合間にも 綺麗な蒼色の光が 集まると……。
御守りの袋の中身は 形を変えて 変化し……。青年の掌には 既視感も無い 剣が握られていたのである。
…………。
蒼色の剣は その出現と同時に鮮烈な 閃光を放って最も近くの 闇の傀儡を 2体 消滅させた。
…………。
『 code-000- !! Last Path Sword !!
( アインソフオール !! ラスト・パス・ソード !! ) 』
…………。
蒼い剣の煌めきは……。
この場にいる 誰もが 知りえない 神秘的な 何かを 動作させたのだ。
…………。
青年 有馬要人は……。code-0-DAATにも似た 蒼色をした未知の姿へと 変化していく。
…………。
頭部を覆うマスクの内側から確認できる視覚情報には code-000-の文字が確認できたが……。やはり 一切の心当たりは無い。
確かなのは……。知りえない 謎の力が 満ち満ちている事と……。
闇の化身に どんな形で有れ 今は対抗する必要がある……。つまり 優先順位の有無だった。
…………。
蒼色の剣を 振るい……。闇の傀儡 ダーク・コートを 更に 3体切り払い……。
上空を飛ぶ 闇の化身の元まで 一蹴りで 跳躍して 切り込む。
…………。
「 俺達は……。まだ負けられない。
何者が相手だったとしても……。負けてられないんだ !! 」
「 貴様……。我が 闇に対抗せしめるか……。
だが……。力が 安定していないのだな ?
それでは……。絶対な闇には及ばぬ。戦えるどうか……。試してみるか ? 」
…………。
闇の化身の片手には 鉈のような武具が 逆手で握られており……。青年が振るった 蒼色の剣を受け止めていた。
青年は直ぐに 地面にまで 弾き落とされ……。
…………。
闇の化身は 膨大なエネルギー波動を 地面に向けて撃ち出した。
N 地区の 地底深くまでを 貫いた エネルギー波動が 大量の土を焼き払い……。大きな 開口を開けていく。
…………。
有馬要人と 天瀬十一は……。
丹内空護が 騎乗する 黒馬型の戦車に拾われて、エネルギー波動の射程外へと空路で 退避した。
…………。
N 地区の 中心に 大きな開口が出来た後に……。
大穴の 真上で 悠々と停滞していた 闇の化身が ある言葉を残す。
闇の化身が残した言葉は 3人の青年達の脳裏に 色濃く残った。
…………。
……。
我は 全てを闇に飲み込もう。
この地の深淵の奥底に眠る 光さえも 全てだ。
我は 唯一の新たなる アルカナ……。新世界 唯一の 絶対的な闇……。
大いなる闇は 深淵から 全てを飲み込み 全てから意味を奪う。
愚者どもよ……。来るがいい……。我の元へ……。
この地の深淵の虚空へ……。
光の試練とは 異なるが……。貴様らには 猶予を与えよう 今より 24時間だ……。
この時間の後に……。世界は 我が闇の傀儡で 埋めつくされるだろう。
破滅よりも暗き 絶望が……。
深淵より 世界を溶かす闇が……。全てに等しく 意味の無い世界を与えるのだ…… !!
…………。
……。
闇の化身は 開口の奥底に 姿を消した。
青年達は 立て直しと 情報の洗い出しを 行う為に……。特務棟へと撤退したのだ。
…………。
地底深くに消えていった これまでにない 強敵は……。
その言葉に ハッタリ等は微塵も無く……。限られた時間の間に 無視できない事態が 起こるのだと認識させる。
…………。
3人の青年達は これまでの出来事を ふりかえり……。今後について改めて 考え始めた。
既に 大穴が 開いてから 2時間程が過ぎ……。否が応でも次に事が起こるまでの 時間に気持ちが向く。
…………。
白衣の青年 天瀬十一は……。これまでの出来事の要点を改めて 整理し始める。
…………。
「 ……ようするに だ。
俺達 5人で 戦闘処理にあたったのが……。約 2時間程前。
その 戦いの途中で 現れたのが 例の 新たな怪人……。一応 エヌ・ゼルプトとして 認識するとして。
The dark ace は……。複数の エヌ・ゼルプトが……。それも 特に強力な個体通しが 複合された存在なのだろう。
( ジ・ダーク・エース )
厳密には、ドゥークラ……。イェルクス……。カシュマトアトル……。
そして、複製データとしての 神地の精神体が 混ざり合って 完全に別の 新たな怪人として形になった。
今までの アルカナの光を思わせる エヌ・ゼルプトとは 逆に……。
名前の通りに 対局の闇の能力を操る。
その強さは 過去の記録を遡っても 何にも比べられない……。安い言葉で例えるなら……。最強の化け物って事だね。
実際 単純な戦闘能力も 耐久性能も高かったし……。
特殊な 能力として 新たな別の怪人を 作り出す能力まで 持っていた。
なら……。
あの闇の化身が 自称する通りの 世界に破滅をもたらすのも 嘘じゃないんだろう。 」
…………。
白衣の青年は 順を追って 件の怪人について 情報を組み立てていく。
青年 有馬要人と 丹内空護は これについて 静かに聞き入っており……。頭の中で整理しなおしている様子だ。
…………。
「 で……。
ここからは 可能性込みの話になる。
ダーク・エースが 姿を消す前の行動としては……。
有馬 君のアルバチャスが 変異した 謎の力には一定の警戒をしていたらしい事だ。
デバイスの解析は 調度 終わらせたんだけど……。
code-000-と 呼ばれる system……。これも 未知の物で……。たぶん 度合いとしては AA-18以上に謎が多い。
データ上では……。AA-18や -JFC-に 冠した 記述も含まれていたけど……。
殆どが 見た事もない文字の羅列だったんだ。
さっきの 有馬 君の話だと直前には……。code-α-のメモリツールも 使用したようだったから……。
俺としては それも強く関係した可能性を睨んでいるけど……。
例えば……。うん そうだな。
code-α-のメモリツールを通じて AA-18や -JFC-への なんらかの繋がりを得て……。
code-0-DAATとの 複合 systemに昇華したとか……。そんな感じなのかな……。
ごめん 正直 俺もわかんないから超がつくくらいの 適当な予測だけど……。
とにかく……。
有馬 君のデバイスには code-0-DAATの代わりに 例の……。
code-000-を起動できる モードが追加されている事には間違いはないみたい。
有馬 君が持ってた 御守りが 只の御守りでは無くて……。何かしらの…… ?
光の試練との関連があるのかもしれない。 」
…………。
天瀬十一の言葉の端々の切れ味は 妙に悪く……。静かに聞き入っていた 丹内空護は少しだけ首を傾げた。
…………。
「 十一……。大丈夫か ?
話がバラけて来たぞ。お前らしくもない。
速い話が……。
あの 蒼い code-0-は 間違いなく ダーク・エース には有効な能力を持っているって事で良いんだろ ?
それから……。
奴を倒すなら……。残り 22時間以内に 終わらせないとならない……。合ってるな ? 」
「 そう その通り。助かるよ空護。
俺としても ちょっと 情報量が多くて 整理するのも 大変みたいだ。 」
…………。
丹内空護が 単純化させた 内容に うなづいて 白衣の青年は 口元に珈琲を運ぶ。
昨今の 飛躍的な変化の連続に 少々 疲れてしまったのか……。天瀬十一の面持ちは 少しだけやつれており……。
…………。
青年 有馬要人も これまでの事象を 解きほぐす ヒントについて思案した。
…………。
「 良い偶然と 悪い偶然が 立て続けに 重なって……。って事なんですかね。
俺も あの瞬間は なんとなく直観に従ってて……。
目の前に落ちてた メモリツールを使った理由も……。特には思い当たらなくて……。
……なんとなく 始めて code-0-を起動したときみたいな。
上手く伝えられなくて 申し訳ないんですけど。
あの蒼い code-0- ?が どういったものなのか……。俺も わかんないですね。 」
「 過程の話だけど……。
もしかしたら……。俺達よりも遥か昔の 高度な文明が残した遺物なのかもしれないね。
光の試練は 紀元前の時代に生きた アルベギ族も遭遇していた。
けど……。あの当時に 誰かが それ程の何かを作っていたなんて到底思えないし……。
作れていたとしても……。使用用途や影響力の範疇が 当時の発想じゃない。
目的は謎なのは変わらないし……。1つの予測の域を出ないけどね。 」
…………。
青年からの 情報が少ない 情報に……。何を確信したのか……。
天瀬十一が 独自の切り口で 可能性だけを口にする。
…………。
「 あの怪人達も含めて 人為的に作ったなんて あり得るのか ?
考えすぎじゃないか ?十一。 」
「 可能性の話だよ。
それくらいじゃないと 説明がつかないだろう。
こんな状況だし……。
むしろ その辺は そうやって 考えるリソースを手放す方が 気楽ってもんさ。
やる事は変わらないんだ。一旦 そうさせてくれ。
けど……。あの穴の奥に消えた アイツと戦うのは 並みの気持ちじゃ 厳しい所だね。
最深部がどうなっているのか……。
アイツが他にどんな 手段を持っているのかも 未知数だ。
当然……。特務側でも 出来る限りの対策を進めているけど……。だからと言って……。って感じも 無いではないよ。 」
「 さっき 十一さん が 話してた通りで……。
たぶん 未知数でも……。奴は code-000-の能力を 危険視してるんですよね ?
あの時だけでした……。武器を出して受け止めて 最大限の反撃をしたのは。 」
…………。
既に 現実的な考えの範疇から 大きく離れ始めた 現実での 突飛な出来事の連続は……。
空想上の疑似科学的な 領域に入り始めたのだろう。
…………。
白衣の青年の その口ぶりからは……。局所的な 思考停止が 所々に見られ……。
無視できない 処理落ちを誤魔化す かのように、根拠のない 予測だけが 飛び出していた。
…………。
丹内空護は ある意味では 最も危険な異常事態に、目を細め……。眉間に力が入っているようだったのだが……。
青年 有馬要人の方は これはこれとして、わからないなりの 視点から 話を継続させて いく。
…………。
先程までの 戦いによる疲労も あるのだろうが……。
真面目な 心持に 身体と精神の状態が 追いつかない ちぐはぐな 視点が飛び交いながらも……。
一応は 真剣な 角度で 今後についての 要点に気を回していった。
…………。
「 確かにな。
アイツを倒す切り札が 有馬にあるのなら……。
それ以外の部分で 俺は全力で サポートしよう。 」
「 俺も 当然 そのつもりだよ。
ひとまずは 皆 少し休んだ方が良い……。もう少しで 今日も日が暮れる。
一度 食べて寝て……。15時間後くらいに 再集合して 考えようか。 」
…………。
約 現在から 22時間以内 とはいえ……。
心身共に ある程度の休息を取って……。対策や 行動について 再考するのも 実際に 非現実的な選択ではない。
…………。
戦える人間は限られているし……。取りうる行動も 既に さほど多くは無いのだ。
ならば……。どんな手段を取るにしても……。休息を入れる余地は産まれるのである。
…………。
理屈は 全く 間違ってはいない筈なのだが……。多くの情報で 疲れ切った 天瀬十一からの ひとまずの提案は……。
3人の間に限っては 何故か 絶妙に口角を上げさせた。
…………。
「 なんか……。夜通し遊んだ後の 翌日も一緒に遊ぶ為の 緊急の約束みたいですね。 」
「 不謹慎かもしれないが……。すまん 俺も有馬と 似たような印象だ。
これまでの 戦いの連続で……。
追い込まれた状況にも 変に慣れてしまったのかもしれないな 俺達は。 」
「 かもしれないね。
有馬 君も 空護も 15時間後の為に しっかり休んでくれよ ?
念のため 緊急時には連絡をいれるから。
それまでは 気持ちの電源を 切る感じで良いからさ。
本気の 気持ちは その時まで 温存しないと 気が疲れちゃうから。 」
…………。
3人は 互いの表情から 気を和ませたようで……。
この影響は 白衣の青年の気持ちを ほぐしたらしく、末期の状態よりも 普段に近い精神状態へと 引き戻させたようだった。
…………。
程なくして……。特務開発部内に置かれた 天瀬十一の自室から 2人の青年が 退室する……。
白衣の青年は、静かに瞼を閉じてから 思案し……。自身のパソコンの ディスプレイに視線を戻した。
…………。
……。
………………。
…………。
……。
どれ程 時間が経ったのか……。意識していない頃である。
天瀬十一が パソコンの ディスプレイに映されている あるデータについて ぼんやりと考えていた頃……。
特務棟内での 内線が 鳴った。
…………。
内線通話の相手は……。C.E.O代理 仁科十希子(ニシナ トキコ)だ。
…………。
「 天瀬 君 さっきの……。私も 確認してみたんだけど……。
貴方の考えた 通りかもしれないわね。 」
…………。
白衣の青年は 受話器を取った のと殆ど同時に目が冴えて……。開口一番に 直接 話をするかどうか 相談を持ち出すが……。
通話先の人物からの優しさから 断られ……。先程 頼んでいた ある要件の 本題へと話が進んで行く。
…………。
要件は あるメモリツールの内部データについてだった。
…………。
「 ……ありがとうございます。
これについては 自分以外の判断も知っておきたかったので……。無理を頼んですみません。
ですが……。やはり そうですよね。
アレの中身は ほぼ code-β- だ。 」
「 これでも かなり 驚いたの。
仕上がったばかりの code-α-が……。実質 2時間足らずで……。次に目指したい 状態に変わっていた。
code-000-の件も含めて 貴方が 頭を抱えるのも 仕方ないわね。 」
「 code-β-については 完全な完成版では無いので……。
基本的には……。二三型は 次の 戦闘処理にも 間に合わないでしょうけどね。
β だって 不具合が無いわけじゃない……。知ってて実戦には使えませんよ。
けど……。
これで 頭の中の ifが 現実に近づいた気がします。
確かに 今になって思えば……。父が制作した code-0-も 不完全な α版か β版だったと言えなくもない。
それが……。 有馬 君が 手にした事で 起動した。
レヴル用の code-α-にも 何らかの影響が出て code-000-に昇華させる要因になった可能性も……。
あながち 無いわけではないかもしれません。
これを証明する 手段も 要因も 完全には 思いつかないのが 歯がゆい所ですが……。ひとまずは……。
code-000-と code-β-での差異で 最も大きいのは……。
未知の言語で 記述されていたのは code-000-だけだったって事でしょうかね。 」
…………。
メモリツールの内部データが 変わっていた 理由は不明のままだったが……。
幾つか ある可能性から 裏付けを取るには……。自分以外の視点での協力が不可欠だった。
…………。
「 そうね。
現状だと 結果だけ出て 原因がわからないから……。
再現性に信頼を持てないのは 気になっても仕方のない所だと思う。
嬉しい偶然ばかりなら 何も考えなくて良いかもしれないけど……。僅かな可能性でも その逆は潰したくなるものね。
今の所は 大きな問題は無さそうでは有るんだけど。
発生が偶然なら その逆も 全く無いとは言えない。
可能性を信じる……。なんて言ったら 技術屋としては ダメかもね。
でも、友人としての考えなら……。絶対に悪いとは 思わない。 」
「 やっぱり……。仁科さん……。かなり こっちにハマって来ましたね。
そっち 行きますよ。
電話越しで 話し続けるのも失礼ですし……。
code-β- に関連した事も含めて 直接話したい事もありますから。 」
…………。
信頼のおける 人物の判断を 妄信する考えでもないが……。
自分自身の判断が 偏っていないかどうかの ある種の 考え方の 切り分けだった。
尊敬 出来る相手からの 協力は……。原因不明の出来事への 心強い 助言になる。
…………。
「 直接 ?それは 構わないけど……。
code-β- については もう少し 詳しく話してもらえる ? 」
「 技術屋としてはダメかもしれない 考え方での 相談です。
code-000-じゃない方の話で 先程……。本人達からの 熱意は受け取ったので……。
……後は 判断するだけなんですけど。 」
「 なるほどね……。熱意には 真剣に考えないといけないものね。
けど……。それについては 殆ど決まってるんでしょう ?
確か……。最近 元一班長と 元三班長が 使用していた分の 修繕が終わってたんじゃない ? 」
「 ハハハ……。そうなんですよ。
見透かされてますね。俺……。 」
…………。
白衣の青年は……。
N 地区の大穴の奥に潜む 闇の化身に 相対する上で……。必要な幾つかについて、この時も考えの中に残していたのだ。
この日……。完全に 身体を休めるまでに 出来る 天瀬十一なりの 戦い方の 1つだった。
…………。
器用に 気持ちほぐしながらも……。脳の奥で あらゆる可能性について 触れていく。
………………。
…………。
……。
~深淵の中で~
青年 有馬要人は……。人知れず……。N 地区に出来たばかりの 大穴を覗き込んだ。
つい先程……。特務棟を 後にして、実動班の班員用に用意されている 宿舎を通り過ぎ……。この場所まで 訪れていたのである。
…………。
大穴が出来る以前も まだ何も 建物らしい 建造物もない場所だ。
1年以上前ののように 誰かが住んでいる地域ではないが……。
殺風景な景色の中に 大きな存在感を示す 開口の中には……。文字通りの 闇が 広がっている。
…………。
青年が この街に始めて訪れて 高台の公園から 見渡した 頃は……。豊かな自然が生い茂り のどかな景色があった筈だ。
…………。
そんな場所も……。エヌ・ゼルプトととの度重なる戦いで……。復興が追いつかず……。
今では こんな……。何もない 平地があるだけで……。出来たばかりの 大穴が 唯一の特徴になってしまった。
…………。
……。
誰のせいでもないのだろうが……。こんな景色に しないで済んだ 可能性も……。あったのだろうか……。
悪い偶然に 別の偶然で 対抗できたとは言え……。
これでは……。
…………。
「 ……誰が 納得できるんだよ。 」
…………。
人知れず 思案する青年に 気にする訳も無く、風が吹いて……。平地の上の 土を巻き上げる……。
太陽は この日も少しずつ傾いており……。空気中の水分が 増えていくのを感じさせた。
…………。
赤外線が 最も遠くまで 届く時間帯も……。その範囲を狭めていくと……。
それまで 降り注いでいた光の熱が 嘘のように 途絶えていく。
…………。
周囲には 人の動きも 工業的な設備も無いからなのか……。音さえも 殺風景だ。
…………。
code-000-……。
( アインソフオール )
無限の光を 意味する言葉だが……。何がどうなってるのか……。さっぱりわからない。
こんな時……。普段ならば ルーティンとして……。
首から下げた 御守りを握って……。静かに 気持ちと 考えを整理していくのだが……。何故か この時は気持ちが落ち着かない。
…………。
「 ……違うな。気持ちは かなり 落ち着いてる。
アレから 静かすぎるのか。 」
…………。
ニューヒキダに 辿り着く前も……。似たような感覚があった。
両親が産まれた 国を 見て回れば……。自分自身も 何か 見つけられるかもしれないと……。
…………。
だが……。青写真を描いても 実際には……。霧を掴もうと躍起になっているみたいで……。手応えが無い。
この景色のように……。あの頃の自分自身にも 何もなかったのだ。
…………。
……。
物心がついた頃には……。母が 経営している 施設の子供達と 語らい……。時間を共にするのが当たり前だった。
実際は 3人家族でも……。施設の子供達とは 兄弟同然に 育ったつもりだったし……。
今も その頃が 嫌いな訳では無い。
もちろん……。やむにやまれない 事情で 施設に来る 沢山の弟や妹達を 哀れんだとかでもないが。
…………。
施設に集められる 子供達の過去を 少しずつ知っていけば……。自分も 何か 出来ないものかと……。考えたくなってしまったのだ。
父や 母のように 何か……。自分が注げる何かで 世界に示せないかと……。
…………。
誰かの為にも……。自分自身の為にもなる 何かを……。追い求めたくなってしまった。
…………。
自分では 我武者羅に 探し続けたつもりだったが……。
かなり抽象的な 目標だ……。具体性に欠ける 行き先は 思うようには 見つからない。
…………。
根無し草としての 積み重ねの無い日々だけが 積み重なっていった。
…………。
そんな 毎日の中で ニューヒキダを目指したのも……。
最初は ちょっとした仕事にありついて、その間に 息抜きが出来れば それで良いとしか 考えていなかったのだ。
…………。
当時は 今ほどの 差し迫った 事態でもなかったし……。ヒーロー願望があった訳でもない。
いや……。仮に もし……。
ヒーロー願望があったとしても、ニューヒキダに来れば 正体不明のヒーローに成れるなんて 考えもしてはいなかっただろう。
…………。
当時の ニューヒキダは 只の 地域イベントのヒーローショーに近い 砕けたイメージの方が 主流だった。
…………。
少し 変わった 興行で賑わう街を 楽しんで……。
心身を癒して 次は何処に向かうか 考える……。その程度の考えで 当時は この街に来たのだ。
…………。
当時の道中……。
ニューヒキダに繋がる 国道沿いの ドライバー向けの駐車場で……。何度か休憩も挟んだが……。
…………。
適当な 木の棒を 地面に垂直に突き立てて……。倒れた方角で 行き先を決める なんて事も数回程してみた。
占い未満の 気晴らしが……。
その都度 ニューヒキダの方角に向けて倒れたからか、偶然を楽しんで喜んだものだが……。
行き先を 決める上では 深い意味など 無い。
…………。
それが……。その当日に 怪人を直接目の当たりにして……。何故か 戦う事ができてしまったのだ。
…………。
なら……。戦う人間が限られてるのなら……。それを知る以前の 情けない世界に 戻るなんて 出来るわけが無い。
どうして 戦えるのかも 自分でさえ わからないが……。
…………。
……。
青年は 頭の中で、知らずの内に 過去の自分の原点に立ち返っていた。
そして……。過去の自分の考えと照らし合わせていったからなのか……。1つの考えに帰結する。
静かすぎた 心の中での 中心に あったものに 気がついたのだ。
…………。
「 戦える程度には今までに知って来た 俺でも……。わからなくて 不安なら……。
戦う力も無い人達は……。
怪人が どういうものかも わからない 人達は……。もっと怖いんだよな。
なら……。俺は……。
戦い抜いてみせるぞ……。待ってろよ ?ダーク・エース……。
世界を どうにかなんてさせやしない。 」
…………。
もしかしたら……。今も 旅を始めた頃と それ程 変わらないのかもしれないが……。
青年は静かに 戦意を燃やす。
…………。
夜のとばりが おり始めた 景色の中で……。
この日 出来たばかりの 虚空の奥へと 狙いを定めた。
…………。
青年は……。ルーティンの代わりに……。
薄手の上着の 内ポケットに 仕舞い込んでいた ある物を 御守りの代わりに 握りしめる。
………………。
…………。
……。
~三位一体と~
N 地区に 大穴が開いてから 約 18時間が経過した。
特務棟では……。これまでに 多くの情報が 集められ……。この日 行われる 初の試みへの準備が進んでいた。
…………。
……。
防戦ではない 戦闘処理の準備である。
…………。
……。
N 地区に大きな開口が 口を開けてから……。ダメもとで 多角的な方面からの アプローチが取り組まれたのだ。
中には……。これから予定される進攻作戦において 不可欠な 効力を発揮したものもあった。
…………。
1つは……。数人規模での 通行が 望めそうな通路の確保だ。
…………。
通路は 巨大な開口部 付近を 調査した際に 見つかったもので……。
どうやら、22災害で 埋没したとされる 日樹田地底湖に繋がる 過去に作られた物の 残骸なのだろう。
この日 見つけた 洞内に伸びる 旧道は……。
先 数メートル に渡って 日樹田建設の当時の看板等が 散らばっており……。風の流れは 道の先があるのだと 裏付ける。
…………。
発見された 看板を元に……。
丹内空護が 本家の 立木家を経由して、何処で使用されていた種類の物なのかを 探らせ……。
見つかった 看板や 工事用の柵の数から……。偶然 入り込んだ量ではないとの 判断も成された。
…………。
この情報を 保管する 補足の材料として……。
情報収集用の 観測機も 数十台、大穴の中に投入された。
観測機は その全てから 有益な情報を得られたわけでは無かったが……。充分な 判断材料を残す。
…………。
……。
日樹田建設の管理資材記録と 特務が用意した 無人観測機での 合同の情報収集だ。
…………。
これらで 洗い出されたのは……。
闇の化身が 消えていった 大穴は、日樹田地底湖の 限りなく近くまで 伸びているであろう事だ。
…………。
進攻経路と……。概算の 目標地点が 決まった。
…………。
……。
光の試練については……。情報面で 大きな進展は 無かったが……。
これまでの数々の戦いが……。今と 何ら変わらない 後手での 対応の連続だったからなのか……。
既に 大きな 問題としては見られていない。
…………。
……。
例え……。後手だったとしても ニューヒキダを護る 勇者達の有り方が……。
当人たちの 歩みを止めはしなかった。
…………。
彼誰五班(カワタレゴハン)……。
彼誰時(カワタレトキ)で戦い、朝を呼ぶ為の 25人の 勇者達が……。整備を終えて……。洞内へ続く道を目指す。
…………。
25人は……。ホバー滑走を用いて、特務棟から伸びる 特務用通路を進んで行った。
…………。
……。
目的は 1つ……。
N 地区の 地底深くの 地底湖に いると思われる 闇の化身と相対する事。
…………。
……。
これまでに得られた情報から 考えれば……。
日樹田地底湖は、エヌ・ゼルプトとも……。光の試練とも……。少なからずの関連があると予測される為……。
場合によっては……。怪人側の 本拠地へと……。特務側から 攻撃を仕掛ける 初めての戦いになる。
…………。
万全を期すのならば……。最低でも 一度……。内部に侵入しての 情報収集が必要ではあるのだが……。
闇の化身の 言動を考慮すれば……。そんな時間は無かった。
…………。
出来る限りの 時間内に可能な 情報収集を 重ねて……。
ぶっつけ本番での 全力投球が……。この日……。この時に……。選ばれた手段なのだ。
…………。
土壇場での 全力投球を 外さない 奥の手も 添えて……。勇者達が 進んで行く。
…………。
……。
22人は……。彼誰五班の第二班 第四班の総力で作られた 合一編成としての行動が 決まっており……。
殆どが 通常の レヴル・ロウである。
…………。
武装は……。11人が……。小銃型武装デバイス R,R,G を……。
残りの 11人は……。小剣型武装デバイス L,L,E を 携行していた。
…………。
昨日の 闇の化身との交戦時に……。
第二班班長 大代大(オオシロ マサル)と……。
第四班班長 荒井一志(アライ カズシ) の 武装デバイスは確かに破壊されてしまったのだが……。
2人の 手には 確かに 武装デバイスが 保持されている。
…………。
代替として 用意されたのは……。昨日よりも以前に 修繕を終えたばかりの 武装デバイスだ。
ある人物達が 生前 使用していた 物を……。この時の為に 急遽 再調整したのである。
…………。
大代大が 握る 小剣型武装デバイス L,L,Eは……。元 第一班班長……。木田郷太(キダ ゴウタ)が……。
荒井一志が 握る 小銃型武装デバイス R,R,Gは……。元 第三班班長……。伊世伝次(イセ デンジ)が……。
かつては それぞれ専用の武装として、固定で使用していた。
…………。
2人の 丸七型は……。かつての仲間の助けを 借りて……。ホバー滑走を走らせる。
…………。
……。
N 地区の 大穴が いよいよ近づいてくると……。
進攻作戦を見越しているのか……。それとも 別の目的からなのか……。忌まわしい怪人の傀儡が 見え始めた。
…………。
Dark court……。そういった名称で 呼称される、闇の傀儡 達は……。数も多く……。
( ダーク・コート )
…………。
日樹田地底湖まで 通ずると思われる 洞内への侵入口に到達するまでに 軽く 100体以上は蠢いている。
…………。
……。
25人は ホバー滑走で 進み続け……。疾駆する合間にも 各々が 攻撃を仕掛けるが……。
全ての相手を同時にはしていられない。
…………。
The dark ace……。闇の化身である 怪人が……。無尽蔵に これを 行えるのであれば……。
( ジ・ダーク・エース )
…………。
それらとの戦いは……。時間と体力の ロスでしかない。
遠からずの内に 物量で押し切られてしまうだろう。
…………。
……。
ある 2人の 青年達は……。3人の青年達に 希望を託して……。先の方へと贈り出した。
…………。
3人の青年達が 洞内の通路へと 姿を消して……。程なくして ボイスチャットが 途切れると……。
2人の青年達は、20人の 合一編成にも指示を下達して……。この瞬間の為に 仕上げられた 切り札に手を出した。
…………。
「 ……これで良し。
あの 3人が 僕達の最高戦力なら……。数での戦いは 僕らの領分だ。
やるよ ?荒井 君。誤作動が有るかもしれないけど……。木田さん達の魂も……。僕らにはついている。 」
「 いつでも 準備は出来ています。
天瀬 副指揮長に 無理して頼み込んだコレを……。後は 自分達が 使いこなすだけですからね。
無理に無理を言って……。武装デバイスの アルカナの充填量も 増設してもらったなら…… ! 絶対に負けません。
伝次の分も……。皆の分も……。自分達が…… !! 」
…………。
温和な青年 大代大と……。
生真面目な青年 荒井一志が……。専用に調整された メモリツールを 武装デバイスに接続した。
…………。
「「 二三型 code-β- !!起動 !! 」」
…………。
丸七型が 姿を変えていき……。
これまでに 無い……。新たな レヴル・ロウが 2人……。臨戦態勢を整える。
…………。
戦闘処理の対象は……。この地区一帯の 全ての ダーク・コート。
…………。
作戦行動としては……。
3人が進む洞内への 怪人の再流入と……。N 地区外への 怪人の進攻の完全な阻止だ。
………………。
…………。
……。
~Ain~
進攻作戦を開始してから……。どれ程の時間が経過したのか……。
日樹田地底湖では、闇の化身との 肉薄した戦いが 繰り広げられていた。
…………。
The dark ace……。闇の化身を相手に 攻防を激しくさせるのは 2人……。
( ジ・ダーク・エース )
…………。
月のアルバチャス AA-18の青年……。丹内空護 と……。
正義と剛克の発展型 ジャスティフォース……。天瀬十一 である。
…………。
闇の化身は……。AA-18が片手に握る射撃用武器からの 銃射撃を 避けて……。
大剣を構える -JFC-を相手に、逆手に握った 鉈のような武具で 切り結ぶ。
…………。
1秒足らずの つば競り合いを した後に……。剛腕で押し切って……。天瀬十一を 洞内の壁面まで吹き飛ばした。
…………。
2人の青年は……。攻めの姿勢を緩めずに 戦いを継続させる。
…………。
……。
この場に いる筈の 青年が……。日樹田地底湖にまで 辿り着いていない理由は……。
3人で……。洞内を 移動していた 頃まで遡る。
…………。
……。
青年 有馬要人は……。日樹田地底湖に辿り着くよりも ほんの少し前……。
直進すれば 神秘的な 光溜まりが 見え始める 石畳が続く 通路の途中で……。何者かに襲撃され……。
丹内空護や 天瀬十一らと 逸れてしまったのだった。
…………。
この時……。青年は 一瞬の間に……。洞内の複雑な地形の脇の方に追いやられた事と……。
容易い相手では無い事だけを 認識した。
…………。
視界の悪い 洞内での 再合流よりも……。時間の消耗の防止に重点を置いて……。
後から直ぐに 追いかける意思だけを 丹内空護と 天瀬十一に伝えたのだ。
…………。
……。
日樹田地底湖の最深部で、闇の化身を相手に 2人の青年が 戦っているのと同時に……。
青年 有馬要人も……。その相手と 一進一退の戦いを繰り広げる。
…………。
蒼色の剣を扱う 蒼い愚者……。code-000-の青年……。有馬要人と 互角以上に戦う相手は……。
新手でもあり……。因縁の相手でもあった。
…………。
洞内の暗闇に紛れて 襲撃してきた その相手は……。
独特な……。斧にも似た形状の 射撃能力も併せ持った 武具で、狡猾で大胆な猛襲を何度も繰り出す。
…………。
エネルギー弾と……。分厚く重い 押し潰す威力の斬撃での 攻撃が……。
有馬要人を 後手に押し込んでは 振り回す。
…………。
……。
………………。
…………。
……。
日樹田地底湖の最深部の方では……。
攻めの 有効打を なかなか 掴み切れない 2人の青年に、新たな脅威が迫っていた。
…………。
現在の状況においても……。AA-18と -JFC-を 圧倒する 闇の化身が……。
光溜まりの アルカナを 大量に吸い上げて……。2発の暗い光を放出する。
…………。
但し……。この時に放たれた 暗い光は……。
いずれもが 人型に変化し……。ダーク・コートの それとは大きく異なる 形状に成っていく。
…………。
どちらかと言えば……。むしろ……。闇の化身に酷似しており……。
微妙に配色が異なる 2体の 何かとして 形を定着させた。
…………。
「 我は……。
The dark ace……。
( ジ・ダーク・エース )
世界 唯一の 絶対なる闇……。
大いなる闇は……。深淵から 全てを飲み込み 全てから意味を奪うだろう。
世界の全てに……。光も 再生も 及ばない 完全なる 不完全を……。
そして……。2つの コレは……。新たなる 秩序の闇の使途……。
Dark Ace Log Sun……。
( ダーク・エース・ログ・サン )
Dark Ace Log Judgement……。
( ダーク・エース・ログ・ジャッジメント )
闇の太陽と……。闇の番人だ……。先程 作り出した 闇の花と 同程度の 新たな 使途である。
世界に 再生亡き 破壊を……。輪廻の及ばない 破滅を……。
闇は止められぬのだ……。 」
…………。
闇の化身とは異なり……。翼を持たず……。飛翔する事は無いが……。
それを補って余りある 俊敏な挙動と 強い剛腕で、鉈のような武具を 使いこなしていた。
…………。
新たに現れた 2体の怪人は……。丹内空護と 天瀬十一を追い込んでいく。
…………。
……。
………………。
…………。
……。
日樹田地底湖の最深部に繋がる 石畳の通路の 近郊では……。
青年 有馬要人が 奮闘していた。
…………。
洞内の暗がりの中でも……。一定量の アルカナの光が漂っているのか……。
強襲者が放った 何発目かの エネルギー弾が 地面を抉り飛ばすと……。周囲を明るくする程の 小さな 光溜まりが出来上がる。
…………。
「 お前……。もしかして……。生きていたのか ?
確かに 実体は消えたはずじゃ……。 」
…………。
ぼんやりと 明度が上がった 石畳の続く 通路の脇で……。
既視感の有る 形から 高笑いが上がった。
…………。
「 ハハハ……。嬉しいですよね ?有馬さん。
俺ボク私も……。こんな 形で 復活させられるなんて。想定のガイガイです。
Devil_Ain……。
( デビル・アイン )
心機一転……。名前も変えましょうか……。今後とも よしなに お願いしますよ ?
有馬さん も 新型と新しい武器なら……。俺ボク私も そうですよね ?
イーブンって素敵でしょ。……だって平等なんだから。 」
…………。
闇の中に咲いた花が……。暗く生い茂り……。無限光の前に立ちはだかる。
青年 有馬要人が握る 蒼色の剣は……。仄かに 刃を煌めかせた。
………………。
…………。
……。
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